タルトタタン研究室

食べるのも作るのも大好きなタルトタタン。レシピページからタルトタタンを独立させてしまいました。いろんな作り方を試したり、市販のタルトタタンを食べ比べたりした研究結果をレポートしています。
紅玉の出回る短い期間の活動ですが、紅玉ある限りタルトタタンを追求していきます。

好き好き大好きタルトタタン
私にとって、りんごの一番おいしい食べ方は、なんと言ってもタルトタタンです。
作るのが一番楽しいお菓子でもあるかもしれません。タルトタタンは、ひっくり返すまで成功したかどうか判りません。型を外したときにキレイな飴色りんごが現れた瞬間の嬉しさは病みつきになります。もし失敗しても形が崩れる程度の話で、食べる分にはじゅうぶんおいしいものなので(普通のアップルパイだと思えばいいしね)、安心して作れるというのも魅力。
それに、ちょっとした加減で色や食感も変化するのもまた楽しい・・・お店では品質が一定しなければいけませんが、素人の作るものはムラがあって、それが却って楽しみだったりもします。他のお菓子と違って素人でも配合や製法を工夫できるところがよいのです。

タルトタタンを作る前に・・・
鍋(型)を選ぶ
酸に強いもの、熱伝導率のよいもの、直火でもオーブンでも使えるもの・・・と考えると、鋳鉄にホーロー引きを施した鍋が一番よいかと。ルクルーゼやストウブなどですね。私が以前ダメにしてしまった鍋と違い、安心して任せられます。
あと、あまり深過ぎないものをお奨めします。4〜5cmが最適かと。深い型だとひっくり返し作業が難しいです。私はもう慣れてきましたけど。
りんごを選ぶ
紅玉に限ります。アイラブ紅玉。酸味の弱い甘いりんごでは間抜けな味になります。それにジューシーなりんごもタルトタタンには不向き。水分がいっぱい出てきてしまって固まりません。紅玉はしっかり酸っぱくて身が締まっているので、タルトタタンには最適でしょう。
日本では、そんなこんなで紅玉が断然お奨め。紅玉では酸味が強すぎると思われる方には、ジョナゴールドがオススメ。私はほっぺたがきゅっとするくらい酸っぱいほうが好みなので、生食さえ紅玉ですが。最近は紅玉でも蜜入りの甘い物が出回っていたりして、ちょっと不満なのです。震えがくるほど酸っぱい紅玉に出会うとすごく嬉しくなります(変な人)
海外ではグラニースミスなんかも向いているのではないかと。洋書のレシピを見ると、ゴールデンデリシャスが推奨されてたりしますね。本家フランスではレイネット。タルトタタンの生家、ホテル・タタンでもレイネットを使っているそうです。
そしてりんごは新鮮なうちに。いかによいりんごを選んでも、日が経つとぼそぼそになるし、ペクチンも弱くなります。こうなると煮くずれたりして上手くできあがりません。
このページの写真と分量について
私は鋳鉄ホーロー系でタルトタタンに使える大きさの鍋は、ルクルーゼのココットダムールしか持っていないのです。なので、タルトタタンもハート型になってしまうのです(とほほ)。タルトタタンらしい形状に拘るなら、やはりなんと言ってもマンケ型を推奨します。
ココットダムールの容量が2リットルで、半分弱の高さまで使っていますから・・・マンケ型や丸形なら直径20cm相当の分量に当たるでしょうか。

パイ生地
パート・ブリゼと、シロップを用意。
ブリゼ生地の作り方については「フードプロセッサで作る基本生地」を参照下さい。
シロップは液状の糖類であれば何でもOK。私は蜂蜜やメープルシロップを使っています。後述のりんごを煮るときに余分な果汁が出てきたら、それを使ったりもします。ガムシロップやケーキシロップなんかでもいいそうです。
  1. オーブンを180℃に予熱しておく
  2. 生地を3〜5mmの厚さに伸ばし、型より一回り大きくカットし、フォークなどでピケする
  3. 10分くらい焼いたら一度取り出し、表面にシロップを塗る
  4. 3.をもう一度繰り返す
  5. ほどよく色づくまで焼いてできあがり。クーラーに乗せて冷まし、ひっくり返しの儀式に備える

私はフィユタージュより、ブリゼのほうが向くのではと思います。フィユテではずっしり重いりんごを乗せるにはもろく、水分も吸いやすいので。味の点でも、しっかりしたパイのほうが合うような気がします。っていうかフィユテはめんどくさい!
・・・でもそれはお好みで。市販のパイシートを使うのも楽でいいと思うし。ちなみにフランスのタルトタタン協会(笑)では、りんご、バター、砂糖、ブリゼ以外を使った物はタルトタタンとは認められないそうで。
シロップを塗るのは、ともこさんから教わったNY仕込みの技。ジャック・トーレス氏のレシピだそうです。表面がカラメリゼされておいしくなるだけでなく、りんごの水分でパイがしとるのを防いでくれるというメリットもありそうです。
レシピその1
ル・パティシエ・タカギのオーナーパティシエ、高木氏のレシピなどを参考にさせて戴きました。と言ってもあまり原型は留めていませんが・・・。
オーブンで焼くだけだし、煮る場合もその型のままでいいので、手間はかからない方法です。

無塩バター(スライスしておく) 20g
砂糖 100g

  1. りんごの皮をむき、4つ割にして芯を取る。砂糖(分量外)をまぶしておく
  2. 型に砂糖とバターを入れて火にかけ、カラメル色になるまで熱してから冷ます(a)
  3. 2.が冷えて固まったら、型の内側にバターを厚めに塗って砂糖をまぶす(共に分量外)
  4. オーブンを180度に温めておく
  5. 型の中にできるだけ隙間ができないようにりんごを詰める(b)
  6. オーブンに投入。40分ほど焼く(c)
  7. オーブンから出し、汁気が多く上がっているようなら直火でとろみがつくまで煮詰める。それでも多ければ少し取り除く
  8. 完全に冷めたら、パイのシロップを塗ってあるほうをりんご側にして7.の上に乗せ、型ごと一気にひっくり返す(d)
a.

c.
b.

d.


切るとこんなかんじ。今回はパイが上手く焼けて満足です。
りんごの原型も割と残っているので、シャキシャキした歯ごたえがお好みの方にお奨めかもしれません。水分も出にくい方法かも。
焼きごてがあるなら、グラニュー糖を表面にふってカラメリゼしてみて下さい、ぜひ。

レシピその2
ル・コルドンブルー、NYのジャック・トーレス氏などのレシピを参考にさせて戴きました。
実はこの写真は・・・ちょっとカラメルに火を入れすぎてしまって、色が濃くなってしまったのです。少し苦味ばしった感じが個人的にはちょうどよくて好みの味だったんですが。ルクルーゼのように保温性のよい鍋だと、火を止めてもみるみるうちにカラメルが焦げていってしまい、あうあう・・・となすすべなく見守るしかなかったりします。

りんごのソテー用
 無塩バター 50g
 砂糖 100g
カラメル用
 無塩バター 15g  砂糖 100g


  1. りんごの皮をむき、4つ割にして芯を取る。砂糖(分量外)をまぶしておく
  2. 鍋にソテー用のバターと砂糖を入れ、カラメル色になったらりんごを入れてソテーする(a)
  3. りんごの表面が色づいたら、網を敷いたバットにあけて汁気を切り、粗熱を取っておく(b)
  4. 型にカラメル用のバターと砂糖を入れて直火に掛ける。好みの色になったら火から下ろして固まるまで冷ましておく。
  5. オーブンを200度に予熱
  6. 4.の型の側面にバターを多めに塗り、砂糖をまぶす(共に分量外)。りんごをきっちり詰め、オーブンに投入。30分ほど焼く
  7. オーブンに投入。40分ほど焼く(c)
  8. 完全に冷めたら、レシピその1と同様にひっくり返し(d)
a.

c.
b.

d.


今回はソテー用の砂糖が焦げぎみだったのでそれ以上あまり煮つめられず、りんごの火の通り方にムラができてしまいました。それはそれでいろんな部位が混ざってて好みではあるんですが、偶然の産物は再現が難しい(笑)。
本来は全体的に柔らかめな食感にできあがります。もちろんお好みの加減に火を通せばいいわけですが。

レシピその2.5
レシピその2を、カラメルにバターを加えずに作ってみました。コルドンブルーのレシピでは砂糖とバターを等量使っていて、その2でもかなり減らしたのですが。
表面の光沢はいちばん出るようです。バターが少なくさっぱりとしていますが、コクも少ない。お好みによりけりですね。

りんごのソテー用
 無塩バター 15g
 砂糖 100g
カラメル用
 砂糖 100g

手順はその2と同じです。型の内側にバターを塗る際、カラメルの表面にも塗ってあげて下さい。
ぴかぴかで飴みたい。今のところ、この製法がいちばん気に入っています。おいしいのはどれもおいしいのですが、ひっくり返した時の満足度が一番高いのです♪てへ

ちょっとしたコツや、その他雑記
型崩れしないために
なんと言っても、前述のように新鮮で身の締まったりんごを選ぶことでしょう。
りんごを凝集させているのは砂糖とペクチンの力。ペクチン含有量が少なく、水分が多いりんごでは、当然固まりにくくなります。
それと、地味なことですが案外大事なのが、表面を平らにすることだと思います。あまりでっぱっている箇所があると、ひっくり返した時に周りがずり落ちてしまうので。適正な深さ(4〜5cmくらい)の型ならば、パレットナイフですり切るようにして平らにならしておくとキレイにあがります。
幸せの煮汁
りんごから余分な煮汁が出たら、ゆめゆめ捨てないように!りんごとカラメルとバターですよ、おいしくなかろうはずがありません。豚肉などをソテーしてソースに使うと絶品です。
小さなお楽しみ
タルトタタンを作りながら飲むお茶はコレ。アップルティにりんごの皮や芯を投入して、ダブルアップルティにするのです♪無農薬、ワックスフリーの紅玉ならではのお楽しみ。
りんご詰め作業
できるだけ隙間を空けないようにするのはもちろんなんですが、当然ながら隙間は空きます。あとは砂糖とペクチンと熱がどうにかしてくれます。
ぴっちり詰めることに拘ってむぎゅ〜と押し込んでしまうと、りんごが潰れて果汁が出てしまうので、却ってよくないです。特にレシピその2ではりんごが柔らかくなっているので、あまり力を入れないように。。。力技で押し込むのではなく、充填効率が最大になるようセッティング方法を工夫する方向で。


お店のタルトタタン
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謝辞
ニューヨーク、食の寺子屋のウェブマスター, ともこさんに大感謝。私は初めてタルトタタンに挑戦した時に焦げつきで鍋をダメにしてしまい、以来タルトタタンはすごく料理上手な人じゃなきゃ作れないんだとすっかり諦めていました。
でもともこさんがとても気軽に作っているのを見、自分も手伝わせてもらって、「なんだ、できるじゃん♪」と思うことができたわけです。レシピやコツもいろいろ教わりましたし。
なので、私がこうしてタルトタタンを作るようになったのは、ともこさんのお蔭なのです。